
松本光史先生(日本代表 乳がん担当PI)のコメント
本試験は術前化学療法により腋窩リンパ節転移陽性が陰性に転じた患者について、領域照射の意義を検証した第3相試験です。
主要評価項目である浸潤癌無再発生存割合は、追跡期間中央値が59.5ヶ月時点の解析で5年推定値が領域照射群92.7 % vs 非照射群91.8%と有意差を認めず、放射線性皮膚炎を中心としたG3以上の有害事象が照射群10% vs 非照射群6.5%と軽減しました。
現在NRGが盛んに取り組んでいる、”de-escalation”試験のはしりの一つであり、日本からはGOG-JapanからNRG-Japanへの体制移行期に乳腺グループから取り組んだ最初の試験でもあります。
各施設の皆様のご協力により、本試験には日本から31名の患者さんが登録され、SABCSでの学会発表(現埼玉医科大学国際医療センター岡本雅彦先生)や本論文(小生)にも共著者として日本からの貢献を可視化できております。
現在我々はER陽性HER2陰性乳癌に対する術後治療に関するde-escalation試験として、50歳以上の患者の乳房温存術後照射の省略に関するNRG-BR007試験(DEBRA)と閉経前乳癌に対する術後化学療法の省略に関するBR-009試験(OFSET)にも参加しており、引き続きご支援よろしくお願いします。
岡本雅彦先生(日本代表 放射線担当PI)のコメント
NSABP B-51試験の結果がNEJMに掲載されたことを大変嬉しく思います。
本試験は、術前化学療法でypN0となった症例に対し、領域リンパ節照射を省略しても予後が変わらないことを立証し、新たな標準治療の確立に資する重要な知見となりました。
2017年より放射線担当の国内調整医師を務め、群馬大学からも5症例の登録に携わるなど、世界的エビデンスの創出に貢献できたことを光栄に存じます。
この責務を通じ、国際共同臨床試験に関する知見を深める機会をいただきましたこと、GOTJの藤原恵一代表理事に深く感謝申し上げます。
患者様の負担軽減とQOL向上に結びつく重要な知見ですので、ぜひご一読いただければ幸いです。
大野真司先生(理事)のコメント
NSABP B-51/RTOG 1304 試験は、術前化学療法でリンパ節陰性(ypN0)となった患者における領域リンパ節照射のDe-escalationを検証した国際共同研究であり、世界的な”Escalation & De-escalation”の潮流を示す象徴的試験です。
本研究はNEJMに掲載され、今後の標準治療とガイドラインを大きく変えるエビデンスとなりました。
日本からも NRG-Oncology Japan を通じて複数施設が参加し、国際共同研究に貢献できたことは大きな意義があります。
引き続き日本発の臨床研究力向上と、患者さんに最適な治療選択肢を届ける取り組みを進めていきたいと思います。