
解良恭一先生(LU005における国内最多登録施設の責任医師)のコメント
本研究は、限局型小細胞肺癌における化学放射線療法におけるPD-L1抗体であるアテゾリズマブの上乗せ効果を検証する第三相試験です。
試験の概要はプラチナ製剤とエトポシドによる併用療法を1サイクル施行し、2サイクル目から胸部放射線療法を開始し、プラチナ製剤とエトポシドによる化学療法群とこれにアテゾリズマブを上乗せする3剤併用群を比較するデザインです。
主要評価項目は全生存期間で、試験治療群と対象群の全生存期間は36.1か月と31.1か月で統計学的に有意差は認めなかった。残念ながら化学放射線療法にアテゾリズマブの同時併用は限局型小細胞肺癌患者の予後を改善せず、negative trialとなりました。
本試験に日本の参加施設からも多くの症例を登録しアクティビティの高さを示せたのではないかと考えています。
各務博先生(理事・日本代表 LU005-PI)のコメント
限局型小細胞肺がんに対して、従来の標準治療である化学放射線治療を対照として、抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブをアドオンし、維持療法としても用いる新規治療の有効性を検討するために、米国NRGと日本NRGが共同でNRG-LU005試験を行いました。
この結果、化学放射線治療の時点からアテゾリズマブをアドオンするこの新規試験治療の全生存率改善効果は、従来治療を上回らないことが判明しました。
同時期に行われていたADRIATIC試験では、化学放射線治療の時点では抗PD-L1抗体を併用せず、維持療法としてだけ用いることで従来治療を凌駕する抗腫瘍効果を得られることが示されています。奇しくも、放射線治療と抗PD-L1抗体治療の組み合わせは、そのタイミングにより効果が異なることが示されたことになります。LU005試験結果は残念なものでしたが、放射線治療と抗PD-L1抗体治療を併用する場合に必要なタイミングを教えてくれる重要なものであったと言えます。
日本の施設からは、米国の主要ながんセンターや大学病院に引けをとらない症例数を登録してもらい、日本における呼吸器内科の臨床試験遂行能力の高さを示すこともできました。